どうして“那个味道”という言葉が変化して“内味”になったの?
「那个」から「内个」へ
中国語で「それ」や「そこ」を意味する代名詞「那/nà」・「那个/nà gè」を北部の人間の多くは「nèi」・「nèi gè」と発音する。例えば「その辺り」を意味する「那边/nà biān」であれば「那边/nèi biān」。「それ」を意味する「那个/nà gè」だと「那个/nèi gè」といった具合である。
(少々、無理はあるがカタカナで表記すると“”那边/ナービエン“は“ネイビエン”、“那个/ナーガ”は“ネイガ”と変化する。)
英語圏(とくにアメリカ)では差別用語に聞こえる可能性があるから気をつけたほうが良いといった声やアメリカ留学時の中華系クラスメイトがこの「nèi gè」をよく使っていたのでヒヤヒヤすることがよくあったなども耳にする。先述の代名詞としての「それ、そこ」以外に「え~と」などを意味する感嘆詞としても広く使われている。(英語でいえば「Well…」に相当する。
この北部なまりの「那/nèi」が同じ発音である「内/nèi」という字に転じたのである。
いわゆる当て字にあたるのだがこのような活用はネットを中心によく見られ、例えば…
- 看看/kàn kàn→康康/kāng kāng( “見る”の意。)
- 这样子/zhè yàng zǐ→酱紫/jiàng zǐ(“このように”などの意味。)
- 超级/chāo jí→炒鸡/chǎo jī(“超”の意。)
- 姐妹/jiě mèi→集美/jí měi(“姉妹”や“非常に仲の良い間柄”の意味。)といった具合である。
さて、続いては「内」は分かったとして「味」は何なのよ?となるだろう。
中国語の「味」は日本語の「味」と同じ意味だが口語では「味」だけで使うことは少なく「味道」や「味儿」というのが一般的である。つまり元は「那个味道/nà gè wèi dào」だったのが「内个味道」となり、その後に「内味」と変化したことがうかがえる。(ちなみに、「味儿/wèi er」の「儿/ér」も北部の人間が多用する発音。)
では、ストレートに考えて「その味」という意味になるのかと言えば、そうではない。中国語の「味道」には先に述べた「味」以外に「感覚」という意味もあるからである。これを日本語に訳すと「~っぽい」や「~な感じ」といったニュアンスになり「内味」は「それっぽい」と訳すことが出来る。
つまり、よく耳にする“有内味儿了吗?”は「それっぽくなった?/それっぽい?」といった意味なのである。
以上、“内味”について紹介してきましたが私の紹介は“有内味”でしたか?
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